
CASE 01 プロジェクト対談
重厚長大貨物を、安全に、確実に。
チームで動かしたプロジェクト輸送の全体像。
Outline
プロジェクト輸送は、営業、配船、海技、コーディネートなど、さまざまな役割が連携して初めて成り立ちます。
本座談会では、重厚長大貨物を扱う大規模なプロジェクトに関わったメンバーの中から5人が集まり、それぞれの立場から見た役割や難しさ、そして一つの輸送を動かす仕事について語ります。
プロジェクトのメンバーと役割

K.I.
プラント・モジュールグループ
プロジェクト開発チーム
2009年中途入社
教養学部卒
#マネージャー

K.A.
プラント・モジュールグループ
プロジェクト開発チーム
2022年中途入社
商学部卒
#実務

F.N.
営業第三グループ
遠洋チーム
2015年入社
経済学部卒
#配船

W.C.
プラント・モジュール
グループ
プロジェクト開発チーム
2022年より当社出向
英文学専攻
#仲介

K.F.
海技第二グループ
在来海技第二チーム
2013年入社
水産専攻科卒
#海技

まずは、今回みなさんが関わったプロジェクトについて教えてください。

K.I.
#マネージャー
今回私たちが関わったプロジェクトは、「重厚長大」と呼ばれる、重くて大きくて長い貨物を、中東で進められているエネルギー関連プロジェクト向けに海上輸送する仕事でした。
全体としては3兆円規模の大型プロジェクトで、アジアからの大型機器や部材の海上輸送を当社が担いました。3年間で100隻、合計約100万トン規模の大型案件でした。

F.N.
#配船
かなり大きなプロジェクトでした。

K.I.
#マネージャー
数字だけ見てもかなり大きいのですが、実際はそれ以上に、関わる人の多さや調整の複雑さが印象に残っています。
海外のプロジェクトが中心となるため、現地に足を運びながら進める場面も多く、各国を行き来しながらプロジェクトを動かしていきました。
社内外で多くの人が関わっていて、ここにいるメンバー以外にもたくさんの人たちと連携しながら進めていくプロジェクトでした。

K.A.
#実務
「大きな貨物をたくさん運ぶ案件」と聞くと、シンプルに聞こえるかもしれないんですが、実際は毎日のように状況が変わるんです。
貨物が港に届くタイミングがずれたり、予定していた船に載せきれなかったり、前日までの前提が翌日には全部変わることも珍しくありませんでした。

K.I.
#マネージャー
本当にそうでした。
最初に計画して進めていくだけではなくて、日々変わる状況の中、そこから先をどう運び切るかが本当の勝負でしたね。
みなさんは、それぞれどんな役割で関わっていたのですか?

K.I.
#マネージャー
私は、お客様との窓口として契約や全体進行を担っていました。
いわゆるプロジェクトマネージャーですね。
お客様との最初の契約交渉として、どういう運賃でどう運ぶか、みたいな話を東京とヨーロッパを行き来してやっていました。プロジェクトが始まる前の2021年頃、その時はコロナがまだあって、羽田に隔離されたりというような状況の中交渉が始まって、無事に受注をいただきました。
実は、私が契約をさせていただく前、プロジェクトと言うのは本格的な交渉が始まる前に何年にもわたって初期の情報のやりとりがあるんです。仕込みの期間。それを全部やってくれたのが、Nさんです。

F.N.
#配船
今回のプロジェクトは、実際の輸送期間が約3年ですが、半年ほどの交渉期間、その前に約3年間の仕込み期間がありました。
その間は、お客様に対して当社として何ができるのか、どのような輸送が可能かといった提案や情報提供を重ね、少しずつ条件を固めていく作業を行っていました。こうした積み上げが、最終的な受注やプロジェクトの実現につながっていると感じています。
業務としては、もう一つ、船の運航形態の違いをまたいだ調整にも関わっていました。
当社には、定期船と不定期船の2つの仕組みがあります。
イメージとしては、プロジェクト専用に動く船が”貸切バス”、普段運行している定期船が”路線バス”ですね。
今回のプロジェクトでは、プロジェクト専用の不定期船だけでは運びきれない場面も多く、定期的に運航している船の空きスペースを活用する必要がありました。
そのため、もともと別の用途で動いている船のスペースを調整し、プロジェクトの貨物を載せられるようにする、といった社内の横断的な連携を担っていました。

K.A.
#実務
私はプロジェクトが開始してからの、日々の配船や貨物情報の整理、お客様との細かな調整を担当していました。
お客様の貨物の情報が来て、それをどの船にどのように載せて運ぶかを考えます。
「この貨物はいつ港に届くのか」「どの船に載せるのがいいのか」「予定がずれた時にどう組み替えるか」といった、実務のど真ん中ですね。
例えて言うなら、食材の状態やタイミングを見ながら料理を組み立てるようなもので、どの順番で、どの方法で調理するかによって仕上がりが大きく変わります。
ただ、その判断一つひとつが、その後の安全性や現場の負荷にも直結するので、常に全体を見ながら調整していく必要がありました。

K.F.
#海技
私は海技担当として、貨物を安全に積めるか、船に無理がないか、現場で問題が起きないかを技術面から見ていました。
積み付けの計画を立てたり、現場で確認したり、必要に応じて海外にも出張して対応していました。実際の現場では想定通りにいかないことも多く、最終的には現地で確認しながら判断する必要があります。
机上だけでは完結しない仕事だと感じましたね。
数年かけて積み上げてきたこのプロジェクトの“最後の工程”を担う立場でもありました。
それまでに積み重ねてきた計画や調整を崩さずに、安全に形にする、いわば“ショートケーキの最後にいちごをのせる”ような役割だったと思います。
ただ、最終的に安全を担保できるかどうかは、海技の判断にかかっている部分も大きいので、責任の重さは感じていました。

W.C.
#仲介
私は、お客様と技術チームの間に立つ役割でした。
要望をそのまま伝えるのではなく、何が本当に必要なのかを整理して、技術側ともすり合わせていきます。
プロジェクトが進む中では、お客様と現場の認識にズレが出そうになる場面も多くて、そのまま進めてしまうと後から大きな問題になる可能性もあります。
そういった点を事前に整理し、双方が納得できる形に調整していくことが任務でした。
20年ほど前に、同じ地域の似たプロジェクトに関わった経験があったので、その時の進め方や注意すべきポイントを踏まえて、先回りして対応できた場面も多かったと思います。

K.I.
#マネージャー
こうして振り返ると、それぞれが専門性を持ちながらも、一人では完結しない仕事だと改めて感じますね。
どこか一つが欠けても成り立たないですし、役割を越えて連携していくことが、このプロジェクトを動かしていたんだと思います。





実際に進める中で、どんなことが大変でしたか?

K.A.
#実務
本当に、前日まで決まっていたことが翌日には全部変わる、ということも珍しくなかったので、毎日気を抜けない状況でした。

K.I.
#マネージャー
お客様から求められる水準も高く、しかも規模が大きいので、少しの変更でも全体に影響が出るんです。ひとつの判断が、配船やスケジュール、関係各所の調整にまで連鎖していくので、常に全体を見ながら判断する必要がありました。

K.A.
#実務
電話して状況を確認して、整理して、組み直して…というのをずっと繰り返していました。
1日に何十件もやり取りすることもあって、やっと形にしたと思ったら、次の日には前提が変わってまた白紙に戻る、ということも多かったですね(笑)。

K.I.
#マネージャー
だからこそ、単に計画通りに進めるというよりも、「変化にどう対応し続けるか」が求められる仕事でした。

K.A.
#実務
大変ではありましたが、その分、うまく回しきれたときの手応えは大きかったと思います。
海技の立場から見て、このプロジェクトはどんな難しさがありましたか?

K.F.
#海技
一番大事なのは、人にけがをさせないこと、貨物や船にダメージを残さないことです。
そこは絶対に崩せない前提でした。
今回の貨物は、いわゆる重厚長大なものが中心で、重くて大きく、形もさまざまです。そのため、積み方一つで船全体のバランスや安定性に影響が出ますし、航行中の揺れによって想定外の力がかかることもあります。
計算による検討はもちろん行いますが、それだけでは判断しきれない部分も多く、実際に現場で確認しながら調整していく必要がありました。

K.I.
#マネージャー
安全が成立して初めて、その先の効率やスケジュールの話ができる。
どれだけ急いでいても、そこは絶対に優先順位が変わらない。そういう意味で、Fさんが支えてくれた部分は非常に大きかったですね。

K.F.
#海技
結果として、大きなトラブルなく輸送をやり切ることができたのは良かったと思います。
その前提を守りながらプロジェクトを完遂できたことは、自分にとっても大きな経験になりました。

K.I.
#マネージャー
安全が担保されていたからこそ、その後の調整や判断も前に進めることができました。

K.F.
#海技
やりがいは大きかったですね。
技術者として誇りを持てる仕事でしたし、自信にもつながりました。

プロジェクト全体として印象に残っている瞬間はありますか?

K.A.
#実務
ありましたね。
いろんな利害関係を乗り越えて、最終的に荷物を運び切れた時の達成感は大きかったです。
特に、直前で計画が変わって他社の船を含めて組み直した案件があって。
本来は競合でもある相手に協力をお願いしながら進める難しさはありましたが、それでも最終的に輸送を成立させることができたのは印象に残っています。

K.I.
#マネージャー
自社だけでは対応しきれない場面では、他社にも協力をお願いしました。
多方面の社外関係者と良好な関係を築きながら進めた点は、このプロジェクトの特徴だったと思います。

K.A.
#実務
そうしたやり取りを通じて築いた関係が、その後のビジネスにもつながっているのは、この仕事の面白さの一つだと感じています。

F.N.
#配船
最初の準備や途中の連携が、最終的に全部つながって結果になるのは、やっぱりうれしいですね。
この会社らしさを感じた瞬間はありましたか?

K.A.
#実務
部署が違っても、必要なら自然に集まって動くところですね。
横でつながって一緒にやる感覚があります。

F.N.
#配船
普段は別の仕事をしていても、大きな案件では自然と横でつながるんですよね。
「この人に聞けば早い」という人が社内に多いのも特徴だと思います。

K.I.
#マネージャー
そういう意味では、今回それぞれの強みが自然に噛み合っていたとても良いチームだったと思います。
Nさんは本当に緻密で、データ整理や条件の詰め方が丁寧なんです。こちらの立場も理解したうえで動いてくれるので、助かりました。
Aさんも、「できない」で終わらせずに「こうすればできるかもしれない」と前に進めてくれる力があって、途中からはプロジェクト全体を回す役割を担ってくれていました。

K.F.
#海技
Iさんは、矢面に立ってくれる安心感がありました。
技術側に直接負荷が来ないように前で受けてくれていたので、現場としてはすごく動きやすかったです。
それでいて、営業と海技を分けるのではなくて、「一つのチームでやっている」という空気を常に作ってくれて一体感を感じました。

K.I.
#マネージャー
ありがたいですね(笑)。
Cさんは、こちらがお願いする前に先回りして動いてくださる存在でした。
お客様と技術の間での調整も含めて、プロジェクト全体をスムーズに進めるうえで欠かせなかったですね。

K.A.
#実務
Fさんは判断の速さと正確さがすごいです。
「できる・できない」の信頼度が高いので、その判断を前提に次の動きができました。

K.I.
#マネージャー
難しい時はきちんと難しいと言ってくれるし、いける時は「やってきます」と言ってくれる。
その見極めが本当に頼もしかったです。

K.F.
#海技
現場だけで終わらず、その先まで考えることは意識していました。
今回のプロジェクトでは、社外の技術者とのつながりもできて、それも印象に残っています。

K.I.
#マネージャー
それぞれが専門性を持っていて、それを自然につなぎながら動ける。
そういうチームの力が、この会社らしさだと思いますね。




