バングラデシュでの船舶解撤(解体)を無事完了

2023.7.14

環境対策、労働安全衛生や人権を尊重した解体を拡大

当社が所有する重量物船「KAMO」(以下、「本船」)は6月にバングラデシュのPHP Ship Recycling Facility (以下「PHP ヤード」)にて無事解撤(かいてつ)を完了しました。同国内でシップリサイクル条約(注1)の基準を満たしたヤードでの解撤は、日本の海運会社としては初めてです。

PHPヤードで解撤中のKAMO

PHPヤードはシップリサイクル条約の基準を満たし、日本郵船(株)の認証(注2)を得たPHP Ship Breaking and Recycling Industries Ltd. が運営しています。
本船の解撤には、船舶管理会社からの監督者に加え、日本郵船(株)からも海技者や技師を派遣し、燃料油をはじめとする有害物質の管理、解撤作業の安全手順の順守などを徹底して解撤を完了しました。また、「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs(注3)) に沿って第三者機関による人権デュー・ディリジェンス(注4)を実施し、人権保護の観点から適切な解撤が行われたことも確認しました。

船舶の解撤場所は労働コストの安いバングラデシュやインドといった新興国に集中し、安全管理や有害物質管理に問題のある解撤ヤードの存在が国際的に問題視されていました。本年6月26日にバングラデシュが条約を批准し、シップリサイクル条約の発効が決定したことから、これらの問題解決へ向けた今後の進展が期待されています。

当社は今後も日本郵船グループとして同国内での環境対策、労働者の安全衛生管理、人権保護を促すとともに、海運産業の解撤に関する取り組みをリードしていきます。

(注1) シップリサイクル条約
船舶の解体時の労働安全確保と環境保全を目的として、2009年5月に国際海事機関で採択された条約。発効には①15ヶ国以上の批准、②締結国の商船船腹量の合計が40%以上、③締結国の直近10年における最大年間解体船腹量の合計が締結国の商船船腹量の3%以上、が必要条件とされており、6月26日のバングラデシュの批准を以て2025年6月26日の発効が決定した。2023年6月時点で日本、インド、バングラデッシュなどを含む22か国が批准している。

(注2)日本郵船(株)の認証
環境保護、労働者の安全衛生管理、人権尊重に関する日本郵船の基準を満たしたヤードに認めている認証。

(注3) ビジネスと人権に関する指導原則
国家が人権を保護する義務と並んで、企業にも人権を尊重する責任があることが国連原則として2011年に明文化されたもの。

(注4)人権デュー・ディリジェンス
人権へのリスクを分析・評価して適切な対策を実行するプロセスのこと