日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)、NYKバルク・プロジェクト株式会社(以下「NBP」)、Drax Group以下「Drax社」)、常石造船株式会社(以下「常石造船」)は5月13日、在日英国大使館でバイオマス燃料バイオマス輸送船建造に向けた基本合意書(MOU)を締結しました。4社は実現すれば世界初となる木質ペレット(注1)を燃料とする船舶(以下「バイオシップ」)の開発などを通じて、木質ペレットの海上輸送の低・脱炭素化に関して共同で検討を行います。
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バイオシップの完成予想イメージ
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契約締結式の様子
左から常石造船株式会社 常務執行役員 / 設計本部長 柴田憲一、Drax Group最高商務責任者(CCO) ポール・シェフィールド、NYKバルク・プロジェクト株式会社 代表取締役社長 須田雅志、日本郵船株式会社 執行役員 栁澤晋一
会社の役割
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取り組みの概要
バイオシップ建造に先駆け、積み荷である木質ペレットを燃料として使用するバイオマス燃料プラントの研究・開発を行います。このプラントはガス化装置を使用して木質ペレットからガスを発生させ、そのガスを使って発電機を動かすことで電気を生み出す機構で、発電された電気は船の推進力や船内電源の一部として使用されます。
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バイオマスプラントのシステム概略図
このバイオマス燃料プラントで使用されるガス化装置は熱分解ガス化方式を採用します。木質ペレットを高温で不完全燃焼させ、一酸化炭素や水素、メタンなどの可燃性が高い成分をより多く含ませることで、木質ペレットを直接燃やすより効率よく発電が可能になります。また、ガス発電装置にはガスエンジン発電方式(注2)を採用することで、船内の限られたスペースで木質ガスのみを用いる効率的な発電が可能となります。
海運業界では世界的に舶用燃料のアンモニア、水素などのゼロエミッション燃料への転換が進む中、小型のバルカー(ハンディサイズバルカー、注3)は、船体サイズに起因する燃料タンクの大きさの制限などの理由から燃料転換が難しく、自然環境に配慮した運航が課題となっていました。そこで、木質資源を扱うDrax社の木質ペレットを燃料として使用することに着目し、バイオマス燃料を使用した船舶の開発をすすめることで、Well to Wake(注4)でGHG排出削減率22%を目指します。また、2029年末までにバイオシップの建造を目指し、4社共同で検討を進めます。
各社概要
<日本郵船株式会社>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 曽我貴也
ウェブサイト: https://www.nyk.com/
連絡先:広報グループ報道チーム nykjp.ml.media@nykgroup.com
<NYKバルク・プロジェクト株式会社>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 須田雅志
ウェブサイト:https://nbpc.co.jp/
連絡先:https://nbpc.co.jp/contact
<Drax Group>
本社:ロンドン イギリス
代表者:CEO Will Gardiner
ウェブサイト: https://www.drax.com/
連絡先:Andy Low, (+44)07841 068415, andrew.low@drax.com
<常石造船株式会社>
本社:広島県福山市
代表者:代表取締役社長執行役員 奥村幸生
ウェブサイト:https://www.tsuneishi.co.jp/
連絡先:ツネイシホールディングス株式会社 広報部
TEL 084-987-4915、メール pr@tsuneishi.com
(注1) 木質ペレット
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(注2) ガスエンジン発電方式
ガスの燃焼エネルギーを利用してエンジンを回して発電する方法
(注3) ハンディサイズバルカー
積載量が2万トンから4万5千トンほどのサイズのばら積み船のこと
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(注4) Well to Wake
燃料を生産し、輸送し、船上で使用するまでのプロセス全体と、そこで発生するすべての排出物のこと